文系でも大丈夫?【特許翻訳も可能?】翻訳者に向いている人・向いていない人の特徴

「翻訳って、理系じゃないと無理?」
「私は文系だけど、専門知識がないと翻訳者になれないのかな…?」

実はこのテーマ、産業翻訳者を目指す方から多く寄せられる質問のひとつです。

また特許翻訳においても同じで、特許の中には技術の理解が必要になってきますし、医薬翻訳なども同様のことが言えます。このように専門性が高そうな分野については「文系出身じゃ難しいのでは?」と感じる方も多いようです。

そこで今回この記事では、文系出身の方が翻訳者を目指すために、

  • 文系の強みと活かし方
  • 翻訳に向いている人・向いていない人の特徴
  • 特許翻訳など理系要素が必要なジャンルの乗り越え方
  • 文系出身の成功例と、よくある誤解

など、ポイントを絞ってお伝えしたいと思います。

文系出身でも翻訳者になれるのか?

まずは一番の疑問から。

結論からお伝えすると、文系でも翻訳者になれます!

特許や医療などの専門分野も、努力次第で十分に活躍できます!

なぜそう言い切れるのか?その理由を見ていきましょう。

① 翻訳は“言語を扱う仕事”だから

翻訳者の仕事は「英語を日本語に」「日本語を英語に」正確かつ自然に訳すこと。つまり、どんなに専門知識があっても、読みやすい日本語にできないと評価されないということが挙げられます。

この点においては文系の得意分野ではないでしょうか。

文学部・外国語学部・法学部などで培った「論理的に理解し、正確に書く力」は、翻訳で非常に役立ちます。

② 専門知識は“あとから身につけられる”から

たとえば特許翻訳のような技術文書は、一見すると理系の知識が必要に思えます。でも実際には、理系出身でも知らないことは山ほどありますし、調べながら翻訳を進めていくことになります。そのため、知識よりも調査力と読解力の方が重要

実際に翻訳の業界では文系出身の方はたくさんいます。つまり「理系知識の有無」ではなく、「知るための調査力」が問われているということです。

もちろん理系の前提知識がある分、「その分野において」先に進んでいるのは間違いありません。その分有利に働くシーンもあるはずです。でも翻訳業は長期間の仕事。気持ち次第で追いつけるということですね。

翻訳者に向いている人の特徴

では、ここではフラットに翻訳者に向いている人について考えてみましょう。過去様々な翻訳者を見てきてわかったことは、以下の特徴を持つ方は翻訳者として強い傾向があるということ。

順番に見ていきましょう。

① 一人でコツコツ作業ができる人

翻訳はフリーランスとして活動する場合は基本的に「在宅」「一人での作業」です。

文章を読む方が好き、静かな空間で黙々と取り組める…そんな方は非常に向いています。

インハウス(社内翻訳者)で活動する場合も、相談できる相手がいたとしても作業はパソコンに向かってするわけですから、特性・性格として「一人でコツコツ作業ができる」というタイプの人にはすごく向いています。

② 細かな違いに気づける人

たとえば、

  • 「しかし」と「ただし」の使い分け
  • 句読点の位置
  • 語尾のニュアンス

こうした細部に敏感な人は、翻訳の品質を大きく上げることができます。作った翻訳文に対して「なんかしっくりこないな…」と違和感に気づけるのは、翻訳者の大切な資質です。

また、技術的なことに関しても「Aという技術と、Bという技術はすごく似ているのに何が違うのか?」というシーンに出会った時、こういった時も自分で調べて納得できるようなタイプだとすごくスムーズに仕事が進むと思いますね。

③ 論理的に物事を整理できる人

翻訳はただの言語の置き換えではありません。
原文の意図や構造を読み取り、順序を整え、必要があれば構文を調整する…というように、論理的な文章力が求められます。

とくに特許や契約書などの実務翻訳では、論理性が最も重視されるポイントです。

④ 調べるのが好きな人

知らない単語、業界用語、略語、背景知識…。翻訳は“分からないこと”の連続です。

だからこそ、Google検索や辞書で調べるのが苦にならない、好奇心旺盛な人ほど伸びる傾向があります

翻訳者=調べ続ける人。

と言ってもいいくらい、翻訳者の日常は調べることです。

⑤ フィードバックを素直に受け止められる人

翻訳会社やクライアントからのフィードバックは避けられません。

実際に翻訳の仕事をしていると翻訳会社への納品後に担当者からフィードバックをもらうことがあります。修正の指摘に対して「勉強になる!」と思える人は、グングン伸びていきます。

逆に「なんで私の訳にケチつけるの?」と反発してしまうと、成長スピードは鈍化してしまいます…。

…というのも、翻訳者のお仕事はいつでも「自分のペース」で作業ができるというわけではないからです。例えば「この案件は納期がタイトだけど頑張って欲しい」と依頼された時や、納期間近になって何かしらのトラブルが起こることも考えられます。

そんな焦る状況の時ほどミスがあったり、訳抜けが起きたりするもの。

そんな時にもしフィードバックが辛口だったなら…。うっ…と思うシーンもあるかもしれません。それでも素直に受け止めて、次の改善に繋げられるかどうかです。ここで素直に受け取れる人は次の仕事にもつながりますし、翻訳会社からの信頼も得やすいということです。

翻訳者に向いていない人の特徴

一方で、「こういう人はちょっと苦戦するかも…」というタイプもあります。もちろん努力次第で変われることも多いので、あくまで“傾向”として参考にしてみてください。

①飽きっぽい・集中力が続かない

翻訳はとにかく「地味な作業」の繰り返しです。

SNSやLINEの通知が気になって…とか、海外ドラマの続きが見たくて…などの集中できないタイプの方は、仕事が進みづらいでしょうし、納期に間に合わないということも起こり得るでしょう。そういった場合はまず環境づくりから進めてみたり、自分なりの工夫をしておかないと大変だと思います。

一回手をつけ始めたら終わるまでやり切るタイプの方が翻訳者向きですね。

②「自分の感性」を出したがる人

出版翻訳や小説なら許されることですが、実務翻訳においては「原文に忠実」であることが最重要です。

翻訳者の主観や言い回しを強く出したがる人は、不向きと言えるかもしれません。

“つい出したくなる”という方は要注意。自分の個性・感性は、一部のジャンルを除いて実務翻訳では求められていないことが多いので意識して取り組む必要があります。

③「なんとなく」で仕事を進めてしまう人

「たぶんこういう意味だろう」で済ませてしまうと、大きな誤訳につながります。

実務翻訳では確認・調査・根拠を持つが大事。「なんとなく」という部分はゼロにしないといけません。なので曖昧なまま前に進むタイプは注意です。

④チームワーク重視・人と関わるのが好きすぎる人

翻訳は基本的に孤独な仕事です。

人と雑談しながら作業したい、にぎやかな環境が好きという方には、少しストレスかもしれません。

ただそういったタイプの方は「翻訳者になろう!」とは考えないかもしれませんが…汗

特許翻訳は“文系でも”活躍できる?

ここで、もう一度取り上げておこうおこうと思います。よく聞かれる質問である「特許や技術の翻訳って理系の人じゃないとできないんでしょ?」ということ。

これはNOです。

理系のほうが最初は有利。でも…

たしかに「電気回路」「有機化学」などこういった分野を扱う場合、理系出身者は専門用語への耐性があります。

でもそれは“初期のアドバンテージ”に過ぎません。

前述の通りで翻訳業は定年退職というものがなく、長い時間取り組み続けることができる職業です。そういう意味で巻き返しが可能ということ。なのでスタート段階で無理と決めつけるのではなく、将来を見据えてステップとして捉える気持ちがおすすめです。

また、どんな分野であれ、最終的に必要なのは以下の3つ:

  • 原文の意味を正確に理解する力
  • 必要な知識を調べて補う力
  • 正確かつ読みやすい日本語に訳す力

つまり、理系知識の有無よりも、徹底的に調べたうえで「どう訳すか」が重要なのです。

実際に、文系出身で特許翻訳者として成功している方はおおぜいいます。コツコツと勉強を積み重ね、着実に実績を伸ばしていく——そうした人にとって、文系・理系の区別はほとんど関係ありません。

最後に、翻訳者に向いているかどうかを判断するための「セルフチェックリスト」をご用意しました!

✅ 文章を読むのが好き
✅ 一人で黙々と作業できる
✅ 細かい違いに気づくのが得意
✅ わからないことを調べるのが苦にならない
✅ 地道な作業が好き
✅ 指摘や修正を前向きに受け止められる
✅ 英語や日本語の表現に興味がある
✅ ルールに沿って正確に仕事をするのが得意

上記のうち、5つ以上当てはまれば翻訳の適性アリ!ぜひ自信を持って、翻訳の世界にチャレンジしてみてください。

まとめ

  • 翻訳は“言葉のプロ”の仕事。文系スキルが活かせる
  • 特許や技術の翻訳も「調査力+翻訳力+努力」でカバー可能
  • 「理系じゃないから…」とあきらめるのはもったいない!
  • 翻訳者に必要なのは、コツコツと地道に努力できる力

翻訳の世界は、学歴や出身学部よりも「やる気」と「継続力」がすべてです。

文系出身の方の“文系力”。翻訳の現場で大きな武器になるはずです。

翻訳カレッジ運営事務局

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